過活動膀胱/過活動膀胱炎について
過活動膀胱
過活動膀胱とは、「昼間8回以上あるいは夜間3回以上排尿する(頻尿)」、「急におしっこがしたくなりもれそうになる(尿意切迫感)」、「あるいはトイレに行くまでがまんができず尿がもれてしまう(切迫性尿失禁)」といった症状があるものをいいます。
この過活動膀胱(OAB・Over Active Bladder)は、2002年パリで開催された国際尿禁制学会(ICS)で認められた新しい疾患名なので、ご存知のない方も多いようです。
健康な人なら400〜500mlの尿をためることができるのですが、過活動膀胱では100ml前後の尿がたまると膀胱が収縮し尿意をもよおしがまんできなくなります。
日本排尿機能学会によると、日本に過活動膀胱の潜在患者が830万人程度いると推測されています。
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トイレが近くなったり、オシッコが少しもれても、それが病気(過活動膀胱)のせいであることを知っている人が少なかったり、高齢だから仕方がないとあきらめたり、恥ずかしいといった理由のため、実際に病院を訪れる人はごくわずかなため正確な患者数は判明していません。
なお欧米では成人の16%もの方が過活動膀胱に罹患しているといわれています。
この過活動膀胱はさまざまな原因によって生じるようです。
加齢による膀胱機能の変化、脳出血、脳梗塞、パーキンソン病などの神経の病気、前立腺肥大症などのために膀胱が過敏になって過活動膀胱は起こります。
加齢や前立腺肥大症などによる下部尿路閉塞も過活動膀胱の原因です。
また、原因の不明なことも少なくありません。
最も患者数が多いのは原因が不明な特発性の過活動膀胱なのです。
過活動膀胱に罹患すると、日常生活を送る上で大変支障となり、生活の質が損なわれるといった問題があります。
高齢化社会において過活動膀胱の患者数は急増しています。
早めに病院にかかるのが良いでしょう。
過活動膀胱炎
過活動膀胱炎は、40歳以上の方の12.4%方が罹患していると日本排尿機能学会の調査で推測されています。
高齢者になるほど罹患率がさらに高くなります。
日本でも多くの方が、過活動膀胱炎で悩まれています。
過活動膀胱炎は生命にかかわる病気ではありませんが、外出が不安になるなど日常生活の上で大変困る病気です。
過活動膀胱炎になったかなと感じたら、恥ずかしがらずすぐに病院(泌尿器科)で診断してもらいましょう。
病院に行くときには1日の排尿の状態を記載した排尿日誌を持参しましょう。
診断がスムーズになります。
また、薬で飲んでいるものがあるときは、医師に相談しましょう。
薬の中には膀胱や尿道の働きに影響するものがあり、尿もれを起こしやすくしたり、排尿困難を起こすものがあります。
過活動膀胱炎の治療は、薬による治療が主体となり、通常は膀胱の収縮を抑える作用の薬(抗コリン薬)を内服します。
抗コリン薬を1〜2ヵ月内服すると80%の患者さんが過活動膀胱炎の症状が改善されるようです。
なお、頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁の症状以外に、尿が出にくい症状がある場合は、抗コリン薬を服用すると排尿困難が悪化することがありますので、排尿困難に対する治療も同時に行われます。
次に、日常生活上の注意点です。
まず、余分な水分摂取やコーヒーなどカフェインを多く含む飲み物は、尿意を催しやすい控えめにしましょう。
冷たい物の一気飲みは避け、暖かい飲み物を中心にします。
特に、就寝前の水分摂取は夜間に目覚めやすいので控えめにしましょう。
次に、冷えに注意しましょう。
寒さにより膀胱が刺激され、過敏になり、尿が近くなったり、漏れやすくなったりします。
また、便秘を解消することも大事です。
便秘症だと、膀胱の機能が不安定になりやすくなります。
そして、外出時には、急に尿意が生じたときにあわてないように、トイレの場所を確認しておきましょう。
過活動膀胱では尿意があるのに我慢していると、トイレまで我慢できずに漏れてしまうことがあるので、早めにトイレに行くようにしましょう。
過活動膀胱炎を克服すると生活の質が向上が実感できます。
病院の指示に従って治療に頑張って取り組みましょう。